• 2025年5月6日22:40:07更新

袙扇のうちとそと 〜小説の中の着物〜 阿岐有任『籬の菊』

小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。今宵の一冊は、阿岐有任著『籬(まがき)の菊』。「あなかしこ」「諾(を)!」交わされる会話はすべて“古語”。

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袙扇のうちとそと 〜小説の中の着物〜 阿岐有任『籬の菊』「徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー」第四十六夜

今宵の一冊は、阿岐有任著『籬の菊』。

昨年の大河ドラマで描かれた紫式部が生きた時代の二代ほど後の世。主人公は、東宮御所に女房として出仕する“兵部(ひょうぶ)の君”こと源基子(みなもとのもとこ)。

本来ならば帝位に繋がる高貴な血筋“源”の姓を持ちながら、現在は零落した名家の出ゆえに、現東宮の第一王女である大君(おおいぎみ)(女一宮呼ばれる)に最上﨟の女房として使えています。

小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。

「あなかしこ」「諾(を)!」交わされる会話はすべて“古語”。平安の世に生きる登場人物たちを生き生きと呼吸させるのは、言葉を含めたこの世界に登場するすべての“小道具”。

扱い方が自然、そこに在ることが必然。高貴な女人が手にした袙扇(あこめおうぎ)でさりげなく覆い隠すのは、その素顔だけではなく見せてはならない本音の数々だったのかもしれません。

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