- 2024年6月30日21:47:24更新
夏の夜の幻想に酔う 〜小説の中の着物〜 皆川博子『ゆめこ縮緬』
小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。今宵の一冊は、皆川博子著『ゆめこ縮緬』。脳内に、古いフィルムを観ているようなーどこか霞んだようなー映像を浮かび上がらせる……そんな物語を、寝苦しい夏の夜のお供にどうぞ。
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着物をまなぶ
「着物をまなぶ」というテーマにて、着物に関する様々な《まなび》のコラムをお届けします。
夏の夜の幻想に酔う 〜小説の中の着物〜 皆川博子『ゆめこ縮緬』「徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー」第三十八夜
今宵の一冊は、皆川博子著『ゆめこ縮緬』。
ひと言で紹介するなら、“大正〜昭和初期を舞台とした幻想文学短編集”となるのでしょうが、そう簡単にまとめてしまうにはとても物足りない、濃厚な世界観を持つ8篇の物語。
抜粋部分は、本書の冒頭に収録された「文月の使者」から。
“生者”と“死者”、“日常”と“非日常”、“現実”と“幻”が混在し、日常を追っていたはずが、いつのまにかその舞台は異界へとすり替わっている。いったいどこが境界線だったのか、いや、境界というものがあったのかどうか……それすら曖昧で。
匂やかな毒気にあてられ、幻想世界に酔う。でも、意識のとある1点だけはクリアに澄んでいて、そんな自分を見つめている。どこか、醒めた意識で。
小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。
脳内に、古いフィルムを観ているようなーエッジが曖昧で、どこか霞んだようなー映像を浮かび上がらせる……そんな物語を、寝苦しい夏の夜のお供にどうぞ。
小説をモチーフにした素敵なスタイリングのお話…
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着物スタイリスト 秋月洋子
2003年にフリーランスのきものスタイリスト・もの書きとして独立後、雑誌や書籍でのスタイリングと記事執筆のほか、テレビドラマ、CM、映画等でのスタイリング、着付を手がける。着物まわりの小物ブランド『れん』、オリジナルデザインの帯留『九九』など商品プロデュースの他、書家としての側面も持ち自筆の着物や帯のデザインも手掛けている。
著書に『大人のおでかけゆかたコーディネート帖』、『おでかけ着物歳時記』(小学館)、『大人のゆかたスタイルブック』(講談社)などがある。
この記事のライター
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