• 2024年3月1日22:50:34更新

節目の白絹 〜小説の中の着物〜 津村節子『絹扇』

小説を読んでいて自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。今宵の一冊は、津村節子著『絹扇』。
婚礼や出産、葬儀などその人生の節目において、自ら織った白羽二重を纏い儀式に臨む。
北陸の白絹の里で、真摯に機に向かい続け生きる女性の物語。

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節目の白絹 〜小説の中の着物〜 津村節子『絹扇』「徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー」第三十四夜

今宵の一冊は、津村節子著『絹扇』。

舞台は、白羽二重の産地である福井県春江村。

県を挙げてその主要産業が農業から機業へと転換し、発展していった明治20年代、ちょうどその時勢を背景に、田地を売り背水の陣で父義一郎が起こした機業の重要な働き手として、明治21年に生まれたちよは齢7歳にして当然の如くあてにされ、学校に通うこともできず、糸繰りに子守りにと日々労働に明け暮れます。

バッタン機と呼ばれる当時最新の織機を用いて、ひたすら機を織るのは母のよし。母が仕事にかかるためには糸の下拵えが不可欠で、それが朝いちばんに取り掛かるちよの最も重要な仕事でした。一家のうちでいちばん早く、4時に起きてアカギレだらけの手を薄氷の張った水に浸けながら糸束を叩く7歳の少女……現代の私たちからすれば想像するだけで痛ましいけれど、でもそれがそう珍しいことでもない。特に女には学問など必要ない、そんなものより手に職!というのが、農村や家内工業で生計を立てている地域においてはごく一般的な認識だった時代の物語です。

小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。

婚礼や出産、葬儀など、その人生の節目節目において、自ら織った白羽二重を纏い儀式に臨む。
北陸の白絹の里で、実直に、真摯に機に向かい続け生きる女性の物語…

小説をモチーフにした素敵なスタイリングのお話…
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