- 2024年9月7日23:13:19更新
誰かのためだけのただひとつのもの 〜小説の中の着物〜 知野みさき『神田職人えにし譚』
小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。今宵の一冊は、知野みさき著『神田職人えにし譚』。赤ん坊のお包みや、子どもの守り袋には生まれ年の干支の刺繍を。
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着物をまなぶ
「着物をまなぶ」というテーマにて、着物に関する様々な《まなび》のコラムをお届けします。
誰かのためだけの、ただひとつのもの 〜小説の中の着物〜 知野みさき『神田職人えにし譚』「徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー」第四十夜
今宵の一冊は、知野みさき著『神田職人えにし譚』。
主人公は、数年の修行ののち、独り立ちして小物の制作を手がける縫箔師の咲。
若くして両親を亡くし弟妹の親代わりとして2人を育て上げた咲は、現在も自らの腕を信じて職人として生計を立てている。26歳、末だ独り身。だけど、これまでに縁がまったくなかったわけではない。
「ただその都度、誰かの妻になるよりも、縫箔師でいることを選んできただけ」
女性がただ純粋に職人でいることが、現代よりも難しかった時代。
職人としてではなく、妻であること、嫁でいることを求められるのが当然だった時代に。
小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。
今宵の一冊は、知野みさき著『神田職人えにし譚』。
赤ん坊のお包みや、子どもの守り袋には生まれ年の干支の刺繍を。
季節の草花をあしらった半衿に巾着、お財布。煙草入れ。誰かの妻になるよりも、ただ縫箔師でいることを選んだ咲が作るのは、“誰かのためだけの、この世にたったひとつの”小物たち。
小説をモチーフにした素敵なスタイリングのお話…
詳しくは、きものと公式サイトより!↓↓↓
着物スタイリスト 秋月洋子
2003年にフリーランスのきものスタイリスト・もの書きとして独立後、雑誌や書籍でのスタイリングと記事執筆のほか、テレビドラマ、CM、映画等でのスタイリング、着付を手がける。着物まわりの小物ブランド『れん』、オリジナルデザインの帯留『九九』など商品プロデュースの他、書家としての側面も持ち自筆の着物や帯のデザインも手掛けている。
著書に『大人のおでかけゆかたコーディネート帖』、『おでかけ着物歳時記』(小学館)、『大人のゆかたスタイルブック』(講談社)などがある。
この記事のライター
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